ファクト#6 電車に乗れなかったときのリアクション?

Green-T

Bishop:  JinKさん、今朝、地下鉄でとても面白いものを見ましたよ。

JinK: 何を見たの?

Bishop: 女の人が、電車に間に合うように一生懸命に走ってきたんですよ。死に物狂いの表情でした。

どんな大切な用事に遅刻しようとしているのかは分かりませんが、ドアが閉まる直前で、何とか乗り込もうと

していました。まるでオリンピックで世界記録に挑もうとするような真剣な感じでしたよ。

JinK: 日本では、時間厳守が重要だからね。

Bishop: 確かに(笑)。結局、残念なことに、その女の人は、ぎりぎりのところで間に合いませんでした。

何に遅刻したかは分かりませんが、重要な用事があったに違いないです。

JinK:  重要なことがなくても、会社の始業時間に1秒でも遅刻したら、ダメだよね。特別なことがない限りはね。

日本の電車は正確だから。通勤時のラッシュアワーだと、電車は、2、3分おきに、定刻にくるから、

遅れるはずない。

電車が遅れてしまったことが原因で、遅刻した場合は、電車の運用会社が、遅延証明書を出してくれる。

遅延証明書がなければ、遅刻と見なされる。これは、会社だけでなく、学校もそうだね。

アメリカの柔軟性に比べると、日本は、時間に厳しいよね。

Bishop:  そうなんですか?それは厳しいですね。だから、彼女の必死だったんですね。

でも面白いと思ったのは、電車に乗れなかったときの彼女の表情ですよ。走って、電車に向かっているときには、

慌てた表情で、一生懸命な感じだったのに、ドアが閉まって、間に合わないと分かった途端、

無表情になったんです。

まるで何事もなかったように、方向をくるっと変えて、違うところにいってしまいました。

アメリカで同じことが起こったら、憤慨していますよ。

JinK:  そうだね(笑)。言われてみれば、アメリカで電車に間に合わなかったら、ののしる人がいるね。

一般的には、アメリカ人のほうが、感情を素直に表現するように思うね。

Bishop:  日本人は、何で、そんなにストイックなんですか?

JinK:  ストイックという訳ではないんだけれど。公の場で、感情を抑えるということが日本では美徳なんだよ。

日本は、集団の和を乱すことを嫌う傾向が強いからね。公の場で、叫んだりすることは、本人のストレス発散には

いいかもしれなけれど、周りの人には迷惑だよね。

Bishop:  ということは、救急車を呼びたがらなかった(ファクト#2参照)年配の女性のように、他人に迷惑を

かけるのを嫌がるということと同じ理由ですか?

JinK:  それもあるけれど、今回の場合は、面子や恥にかかわる問題かな。

Bishop:  何ですか、その面子や恥とは?

JinK:  今回は、乗ろうとしたが乗れなかった。つまり、公然の場で、失敗してしまった。

感情を表すことは、その失敗を認めることになる。公に失敗を認めることは面子に関わる問題だし、

恥だということ。単に、恥ずかしいということでもあるけどね。

だから、「特に問題ないですよ」と何事もなかったかのような表情をするということだと思う。

Bishop:  そうなんですか?アメリカなら、待ってくれなかった電車が悪いと思いますけど。

いい車掌だと、遅れそうな乗客を待ってくれる場合もありますよ。

JinK:  日本の場合は、待ってくれないね。

待つことが自体が、ダイヤを乱すことになるし、他の乗客に迷惑をかけることになるから。

そういう意味で、他人に迷惑をかけないというのも関係してくる。

基本的には、待ってくれなかった電車が悪い訳でなく、遅れた自分が悪いと考える。

Bishop:  難しいですね。。。

JinK:  難しいかもしれないね。スポーツを例に説明してみるよ。

アメフトだと、タッチダウンしたときに、勝利のダンスをするよね。これはこれで、盛り上がるんだけど、

日本の国技である相撲は違うんだ。優勝決定戦で勝ったとしても、ガッツポーズをすることは、

とても下品なことだと思われてる。

勝負が終わった後、表情は変えずに、礼をして、土俵を離れる。負けて倒れた人に手を差し伸べることも多いね。

これは、勝ち負けは別にして、相手を尊重する、面子を守る、あるいは恥をかかせないということが大切なんだよ。

礼に始まり礼に終わる。

Bishop:  僕も、あれは、格好いいと思ってますよ。負けた方も、がっかりした表情をしないですね。

JinK:  そうだね。負けても堂々とし、勝者を讃える。それで、面子を守れる。

Bishop:  でも、一つだけ良く分からないことがあります。高校野球の試合を見に行ったことがあって、負けたチームが

ゲームの後、泣いていましたよ。それは、恥にならないんですか?

JinK:  それは、鋭い指摘だね。個人が負けて泣くことは、自分の弱さを認めることであり、格好悪いんだけれど、

チーム戦で、集団のために泣くことは、それだけチームのことを思っている証であり、

格好悪くないということだと思う。

Bishop:  それは、面白いですね。

ということは、電車に遅れた女性も、それが、駅伝みたいなレースだったら、電車に遅れて泣くことは

問題ないということですか?

JinK:  面白いこと考えるね。チームのためだったら、面子も捨てるというのが美徳だったりする。

チームのためなら、泣くのも恥ではない場合もあるけど、それは一生懸命に頑張っている場合に限るかな。

やっぱり、電車に遅れるのは、ちょっと問題かな。。。

ファクト#6 日本では、公の場で感情を表に出さないことが良しとされる。

by Bishop & JinK.

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