JinK: ビショップさん、この前、英字の週刊誌を読んでいたんだけど…
Bishop: アメリカも最近いろいろありますからね。時事はフォローしておいたほうがいいですよ。
JinK: そうなんだけど、ちょっとしたことが気になっちゃって。
Bishop: えっ、どうしたんですか?
JinK: 雑誌の始めの方に、編集長からというコーナーがあって、そこに訂正記事が出ていたん
だよね。
Bishop: 最近、雑誌も経営が厳しいですから、チェックが甘くなっていたのかもしれないですね。
JinK: さすがビショップさん、いいポイントをついてくるね。それもそうなんだけど、他にも
気になったことがあって。
Bishop: 訂正記事って、よくある話ですよね。何が気になったんですか?
JinK: ちょっとしたことなんだけど、お詫びが無いんだよ。フランスの国旗の色の順番を間違って
いたり、大事な数字を間違っていたりして、権威のある雑誌としては、かなり恥ずかしい
というか何というか。しかも、為替の換算をわすれていたみたいな初歩的なミスを言い訳
みたいに書いていて、お詫びがないのが、何かすごく違和感があるんだよね。
Bishop: あー、そうですね。日本はすぐお詫びしますからね。確かに、新聞の訂正記事も、
かならず、訂正とお詫びはセットですよね。みんなで頭を下げてお詫び会見というのも
時々みかけますね。
JinK: そうだよね。日本では、間違ったら詫びるのは当たり前だよね。でも、なんで編集長は、
そんな間違いをしているのに、詫びなくて平気なのか?国旗の色の順番を間違えるというのは、
とても失礼な話だし、数字だって、その数字を覚えて、ビジネストークに使ったビジネスマン
もいるかもしれないじゃない。読者に迷惑かけているよね。あまりにも誠意がないから、
雑誌の購読やめようかと思って。
Bishop: 詫びを入れる、謝るという意味合いが、日本人とアメリカ人で違うのかもしれませんね。
謝るというのは、自分の非を認め、過失を認め、罪を認めることなので、アメリカの場合、
損害賠償などの責任を負うことになりますからね。常にお詫びには、罪や過失を償うための
行動の責務を伴うから、よほどのことが無い限り謝らないですよ。交通事故を起こしたときも、
謝ると過失を認めることになるので、大変なことになりますよ。逆に、日本人みたいに、
かんたんに詫びて、行動を伴わず、改善されないというのは、誠実じゃないと思われますね。
JinK: 手厳しいね。ビショップさん。もちろん日本人の僕でも、形だけ詫びて、本質的な解決が
されないのは、腹に立つよ。そういう場合は、不誠実だと思われても、仕方ないかもね。
日本でも、気持ちのない謝りかたをしても信頼をなくすだけだから。やはり誠心誠意
じゃないと。
Bishop: そうかもしれませんね。でも、本当に、日本人はなんでそんなに簡単に謝るのかわかり
ませんよ。どうしてなんですか?
JinK: これは、難しい質問だね。日本は、「和を以って貴しとなす」ということを大切にしている
からかな?
Bishop: 聖徳太子ですね。確か、1400年前くらいに制定された十七条の憲法の第一条だったかな?
JinK: へぇー、ビショップさんよく知っているね。そうそう。何事をやるにも、みんなが仲良く
やり、いさかいを起こさないのが良いと意味なんだけど。例えば、喧嘩をしたとするじゃない。
でも、喧嘩をふっかけたほうが悪いのか、喧嘩をふっかけられたほうが悪いのか、一概には
言えない場合が多いでしょう。その場合は、どっちに非があるか、白黒つけずに、非は多かれ
少なかれ双方にある、だから喧嘩両成敗で、非を明確にせずに、どっちも悪いとうことで、
双方、罰するというのが日本の考え方なんだよね。だから、喧嘩になった場合は、裁きが
下る前に「いろいろ考えたんだけど、俺が悪かったよ」というのに対し、「いやいや、
俺の方も悪かったよ」と双方が非を認めることで、まるく収まるというわけ。非の有無よりも、
済んだことは仕方ない、過去のことは水に流して、平和になるように持っていこうとする
ということかな。
Bishop: それは、日本人特有かもしれないですね。相手が悪いと認めたら、アメリカだと、
そうお前が悪い、これで、正義が保てたという感じになりますよ。
JinK: 確かにアメリカは正義を重視するね。でも、正悪や白黒つけようと思って、お互い相手が
悪いといい続けたら、どんどん関係が悪くならない?誰かにとっての正義は、他の誰かに
とっての正義ではないかもしれないし。
Bishop: そうですが、それでも、やはり、アメリカの場合は、白黒つけて、何が正義なのかを
明確にしますね。アメリカ人からみると、日本人は、形だけ詫びて、問題の所在をあいまい
にしてごまかしているというふうに見えますよ。極端に言えば、アメリカは、正義を重んじ、
日本は、和を重んじるということでしょうね。平和な世界を創るには、双方の良いところを
取り入れるのが大切かもしれませんね。
JinK: そうだね。双方の良いところが失われて、誰か特定の人にとっての正義に極端になったり、
誰も責任をとらず問題が手がつけられないところまで悪化するみたいなことは避けたいね。
そういう意味でも最近は時事から目が離せなから、やっぱり、購読は継続しなきゃな。
ファクト#20: アメリカ人はめったに詫びないのに対し、日本人はよく詫びる
by Bishop & JinK.