Bishop: JinKさん、唐突ですが、日本の住所って、わかりにくいですよね。
JinK: そうだね、その話はよく聞くね。少し前のTEDトークでも、話題になっていたよ。
日本は、区画毎に住所を割り振る街区方式、アメリカは、道路に接している
住居に数字を割り振る道路方式だよね。このビデオをみるとわかりやすいよ。
http://www.ted.com/talks/derek_sivers_weird_or_just_different
番地のつけ方は、古い家順じゃなくて、区画ごとに時計回りなんだけど、
それ以外は、彼の言っている通りだね。
Bishop: なるほど、住所の決め方はわかりましたよ。でも街区方式って
わかりにくくないですか?大学生の頃、アメリカで郵便配達のバイトをしたのですが、
道路方式は、わかりやすかったですよ。住所に書いてある道路にたどり着いたら、
右は奇数、左は偶数で順番に並んでいるので、すぐにわかりますよ。
JinK: そうだね。僕もアメリカの道路方式の方が、家を特定するのには、わかりやすいと思う。
でも、それには、大きな前提条件があるね。
Bishop: 何ですか?
JinK: 当たり前だけど、行きたい住所に接する道路がどこにあるか知っているということ。
今、僕はボストンに住んでいるけど、住所表示は、番地が最初あって、道路が次に来て、
ボストンなどの町が来て、マサチューセッツなどの州がくる⒋段階方式。
すると、ボストンの次が、いきなり、Snow St. とか、Washington St. になるよね。
しかも、Harvard Avenueとか、Harvard Streetとか、似たような名前も多いし、
どこにそのストリートがあるのか、あたりがつかないことも多いよ。
Bishop: それは、分かりますよ。昔は、皆からなず車にThomas Guideという地図を持っていて、
知らない住所に向かう場合は、地図の裏面にある道路のインデックスで調べて、
どこに道路があるか探しましたね。ロードトリップ等に出て、地図を持っていないところ
にいくと、住所がどこなのか、見当がつかないことはありましたよ。
でも、最近は、グーグルマップで確認すれば、わかりますけどね。
JinK: そうだね。それは、僕も大分慣れてきたね。日本の場合は、都や県が最初にあって、
区や市が次で、町名になって、丁名がきて、番地がきて、号がくる6段階方式。
エリアを少しずつ絞っていくやり方だね。だから、XX町X丁目といえば、大体の場所の
あたりがつく。これは、日本のほうがわかりやすい。日本の場合、問題なのは、行きたい
住所の近くに来たときに、どこに行けばいいのかわからなくなるということだね。
Bishop: そうですよ。どこで曲がればいいのか、アメリカの場合、クロスストリート
(2つの道路の交差点)で説明することは多いけど、日本の場合は大きな道路以外名前も
付いていないから説明ができなくて不便ですよね。10年くらい前のMapquestとか、
初期的なGoogle Mapsではアメリカの場合は道順を文字だけでも印刷すれば大丈夫
だったのですが、日本の場合は、道に名前も付いていないので必ず各ステップで地図を
印刷しないといけなかったですね。日本の場合は、地図がないとどこに曲がればいいか
本当に分かりませんよね、一番肝心なところがわからないのはやはり不便ですよ。
JinK: その場合、近所の人に聞けばいいんだけどね。親切に教えてくれると思うよ。
Bishop: そうですが、探し当てるまで、いちいち、聞くのは面倒ですよ。
JinK: 確かにね。不便だね。多分、もう一つ考えられるのは、日本では、住所は、住居を
特定するためだけのものではないということかな。
Bishop: どういうことですか?
JinK: 日本は、10世帯くらいの区画単位で協力する前提で町が成り立っている。そういう
前提だから、住所の決め方は、区画単位ということかな。 400年以上前に、治安維持、
相互扶助、相互監視の目的で作られた5人組が起源だと思うけど、歴史的に、日本には、
隣同士で助け合うという慣習があったからね。日本も都会化が進んできて、見知らぬ人
同士が、隣に住むということが増えてきて、大分そういう慣習は薄れたきたと思うけど、
今でも町には町内会があって、さらに10世帯ぐらいの隣保班がある。協力するといっても、
今は、ごみの収集・清掃と町の防犯やイベントなどの情報が載った回覧板を回す程度だけど。
ごみは、アメリカが各家庭ごとに出すのと違って、区画ごとにごみの集積所に出しに行く。
ごみの出し方が悪いと他の人から不評を買うね。
Bishop: そうなんですね。そういう目的もあるんですね。歴史的な背景はわかりますが、
そうはいっても日本の住所は、分かりにくですよ。
JinK: ある場所にたどり着きたいという目的からすると、ビデオのタイトルにあるように、
Weirdかもしれないね。でも、今はGoogle Mapがあるから、どっちの方式でも関係ないかな。
どっちが、優れているということではなくて、それぞれの考え方や良さを認めつつ、
それぞれの欠点を技術や知恵で乗り越えていく、そういうのって、いいと思わない?
Bishop: いいですね。同感です。でも、配達のバイトをするなら、やっぱり道路方式の方がいいですよ。
JinK: そうなんだけどね。できた仕組みは、なかなか変えにくいし、日本の場合、区画が細かくて、
小径も多いから、今更、全ての道に名前をつけるのは難しいだろうね。
ファクト#16: 住所は、アメリカは道路を基に、日本は区域を基に決められている。