Bishop: 日本とアメリカの結婚式のもう一つの大きな違いは、出席者ですね。
日本の場合、会社の上司や同僚が出席しますよね。アメリカの場合、
よほど親しい関係でなければ、会社の上司や同僚を結婚式に招待することはないですよ。
JinK: そうだね。日本の結婚式では、一般的に、会社の上司あるいは恩師が座る
テーブル、高校、大学時代の友人テーブル、 会社の先輩、 同期テーブル、親族テーブル
があるね。会社の上司や学校の恩師が、主賓としてスピーチするのが多いんじゃないかな。
Bishop: 親族や友人を招待するのは、分かるんですが、なぜ、会社の上司や同僚を、
結婚式に招待するんですか?個人的には、仕事とプライベートは分けたいですし、
親しい人が出席する中で、結婚式を挙げたいですね。
JinK: その気持ちは分かるよ。日本人も親しい友人だけ集めて、結婚式の二次会を
やることも多いよ。でも、多分、日本は、アメリカと結婚式の位置づけが違うんだよ。
Bishop: どういうことですか?
JinK: 日本の結婚式は、新郎新婦が結ばれるという場ではあるけれど、新郎の家と
新婦の家が姻戚関係になる儀式でもあるよね。会場の入り口には、○○家○○家ご両家
結婚披露宴会場と書いてあるでしょう。二人の結婚を披露するのではなくて、
ご両家の結婚を披露するだよね。
Bishop: 新郎新婦の二人ではなくて、家と家が結婚するんですか?
JinK: もちろん二人の結婚式でもあるんだけど、新郎の家族と新婦の家族が、
大きな家族になる大切な場でもあるね。
Bishop: なるほど。
JinK: だから、新郎は新婦側の親族に、新婦は新郎側の親族に、自分たちが家族や
親族の一員となるのにふさわしいということを見せる必要がある。だから、
会社の上司にスピーチをしてもらって、”お墨付き”をもらうという訳。
Bishop: “お墨付き”...ですか?
JinK: そう”お墨付き”。上司のスピーチは、だいたい、新郎の場合、勤める会社の紹介から
入って、新郎が如何に有能なのかという話があって、その後、如何に将来を約束
されているような話をユーモアを交えながらする。新婦の場合も、勤める会社の紹介から
入って、新婦が気が利いていて、愛情豊かで、趣味が多彩で、如何に良妻になるのか
という話になる。もちろん、新婦が、キャリアウーマンなら、新郎と同じような
パターンになるね。お墨付きというのは、権威のある人が、相手方の家族、親族に対して、
この人は大丈夫ですと保証するということかな。昔は、証文に墨で署名していたからね。
ちゃんとした会社で働いていて、いい人と結婚したんだねと思ってもらえれば、
上司のスピーチは成功だね。
Bishop: なるほど。親しい友人だけなら、”お墨付き”を与える人がいないですからね。
JinK: そうだね。それに、新郎、新婦にとっては、これまで育ててくれた両親に、
感謝の気持ちを伝え、二人の将来に対し、安心してもらう場でもあるね。だから、
新郎新婦の人となりや仕事ぶりを、会社の上司や学校の恩師が話して、一人前になった
ということを示すことが重要なんだよ。
Bishop: そういうことだったんですね。会社の同僚が、歌ったり、ダンスをしたり、
出し物をするのも、面白いですよね。
JinK: 宴会芸も日本の結婚式の定番だね。堅い話ばかりだと式がつまらないし、これも、
新郎新婦が、如何に楽しく過ごせる仲間に 恵まれているかということを示すことにもなる。
最後は、両親への花束贈呈と挨拶だね。厳かに式が始まって、新郎、新婦の人となり
を知って、笑いあり、涙ありとなるのが最もいい式じゃないかな。
Bishop: なるほど。
JinK: ちなみに、主賓は、スピーチをする主賓は、”お墨付き”を与える人
だから、一番偉い席に座っている。
Bishop: そうですね。日本は席次にうるさいですからね。エレベーターの中でも、
どこの場所にいるのかが 大事だったりしますね。若い人は、エレベーターのボタンの
近くにいて、年配の人や偉い人が奥なんですよね。
JinK: ビショップさん、よく知っているね
結婚式の場合は、新郎新婦に最も近い一番前の列が、偉い席。その中でも新郎新婦に
近い中央のテーブルが偉く、中央のテーブルの中でも、新郎新婦に近い前の方の席が
偉い席となっている。だから、誰が一番偉いかは、一目瞭然だよ。しかも、席次表が
配られるから、名前を間違えることもないね。
Bishop: なるほど。
JinK: ちなみに、新郎新婦の家族は、最後列の両端に座る。新郎新婦からは一番
離れていて、末席と呼ばれている。一番良くない席だね。
Bishop: アメリカなら、親しい人が新郎新婦の近くにいますね。おばあちゃんを末席に
置くなんて、アメリカでは考えられないですよ。
JinK: なるほどね。日本は、両家の結婚式で、新郎新婦の家族は、ホスト、出席者は、
ゲストなので、ホストは、偉い席には座れないね。親密さは、席次とは関係しないし、
逆に、親密であるほど、席次を気にする必要がなくなるから。
Bishop: どういうことですか?なんか、席次は難しいですね。
JinK: 慣れてしまえば、そんなに難しいことはないよ。日本の会社は、年功序列の
場合が多いから、その人の肩書にしたがって、偉い席から、アサインしていけばいい。
Bishop: そう言われてみると簡単そうですね。でも、席次で偉い順番が明確に分かるので、
友達の席は難しいんじゃないですか? 誰を偉い席にして、誰を偉くない席にするのか?
悩みそうですね。
JinK: 確かに悩むんだけど、席次には、2つの考え方があるんだよ。一つは、偉い人順に
上位から決めていく、もう一つは、親しい人は、その序列に従わなくてもいいという考え。
だから、とても親しい友達は、末席である家族席に座ったりすることもある。
Bishop: えっ、そうなんですか?それは、面白いですね。
JinK: 要するに、家族席と一緒にすることで、かえって、気を使わないくらい親しい
間柄であることを示すことができるという訳。
だから、そういう人は、偉くない席でもかえって嬉しいんだよ。
Bishop: へぇー、そうなんですね。
JinK: そういういくつかの基準があることで、誰も傷つかないんだよね。そういうあいまいさ
を日本は、大切にするね。いい席になれば、気を使ってもらったと思うし、いい席でなければ、
気を使わないほど親しい間柄であるといいうことにもなる。
もちろん、細かいことを気にする人もいるけど。
Bishop: そういうことなんですね。だったら、僕がアメリカで披露宴をするときは、
昔のボスであるJinKさんにお墨付きをしてほしいな。ただ、親しい間柄でもあるので、
JinKさんは末席ということでお願いします!
JinK: いや、それは困るな。親しい間柄は、嬉しいけど、末席だと
お墨付きの権威が保てないしな。。。悩むな。。。(笑)
Bishop: 細かいことを気にしすぎですよ、アメリカでは席次誰も気にしませんから(笑)
Fact #12: 日本の結婚式では、偉い人ほど良い席、親しい人ほど良くない席に座る
by Bishop & JinK.