JinK: ビショップさん、最近、ボストンは、珍しく雨続きなんだよ。
Bishop: 4月の雨は、5月に花をもたらすといいますが、それでも雨は、嫌ですね。
JinK: 雨は気が滅入るね。それにしても、アメリカ人って傘ささないよね。雨が、結構降っていても、
傘さしている人は、1割もいないよ。
Bishop: そうかもしれないです。日本人は、雨降ったら、9割以上、というか、特別な事情がない限りは、
ほぼ全員が傘さしますもんね。傘忘れても、コンビニで、安いのだと300円(3ドル)くらいで
ビニール傘買えますし。
JinK: そうだよね。日本は、傘消費国で世界一だから。日本だけで、年間1億本、傘が売れるらしいよ。
Bishop: 1億本ですか?それは、すごいですね。日本の人口が1億人2千万人だから、赤ちゃんから
お年寄りまで、毎年1人1本買う計算ですよ。
JinK: 僕も、日本にいた時は、5~6本持っていたよ。傘を忘れて困らないように、会社にも2本くらい
置いていたね。地下鉄で多い忘れ物は、傘がダントツ一番なんだよ。
Bishop: それは分かる気がしますね。でも、なんで、日本人は傘をさして、アメリカ人は
傘をささないんでしょう?
JinK: 日本は、雨が多いし、降り方がしとしと、じとじとしているから、傘ささないとずぶ濡れに
なってしまうからね。濡れると、かなり気持ち悪いし。アメリカの場合は、雨粒が細かいし、
天気も変わりやすくて、直ぐに止んだりするから、あんまり傘をさす必要がないような気がする。
直ぐに乾くしね。それに、突風が吹いたりするから、傘さしているのも大変だよ。
Bishop: それに、傘を持ち歩くのも面倒ですしね。言われてみれば、傘は、日本に深く根付いた
文化になっているかもしれません。日本の傘売り場に行くと、色とりどりの傘が売られていますね。
JinK.: アメリカの場合、傘は、雨を避ける道具か、美術館のお土産みたいな感じだけど、日本の場合、
傘は、身だしなみ、ファッションの一部になっている。
もちろん、ビニール傘みたいな、安価な道具目的のものもあるけど。
Bishop: 確かに、日本の傘売り場は、ファッショブルですよね。
JinK: 雨という、どちらかといえば嫌なもの。だからこそ、そこを工夫して、いい面を見出す、情緒を
見出すといってもいいけど、それが日本人の感覚かな?傘と言えば、相合傘もあるね。
Bishop: 何ですか?それは?
JinK: 僕もどう訳すかわからなかったから、調べたら、sharing an umbrellaだって。
文字どおりにとれば、その通りなんだけど、それ以上の意味があるよね。
Bishop: なんですか、その隠された意味って?
JinK: 別に隠してないけど(笑)、傘の絵の下に恋人同士名前を書くと、その2人は、ラブ、ラブである
いうことを意味するんだよ。語源としては、関係ないんだけど、「あい」は、「ラブ」だからね。
韻も踏んでいる。
Bishop: そうなんですか?アメリカとは違いますね。アメリカの映画だと、傘なしに雨に濡れながら、
キスするシーンが、より情熱的で、ロマンチックですね。日本では、傘がロマンチックなんだ!?
JinK: 確かにそうだね。日本では、傘は、ロマンチックな道具でもある。アメリカのように人前でハグする
スキンシップのカルチャーは日本にはないから。雨が、どきどきしている2人を近づけるいい口実
になるというわけ。今でも、相合傘の落書きはあるんじゃないかな。小学校高学年から中学くらい
にかけて、だけどね。
Bishop: なんか、そのピュアな感じがいいですね。
JinK: ビショップさん、そういう感覚分かるんだ。
Bishop: もちろん、私も妻と相合傘ですから。
ファクト#5 世界最大の傘消費国日本では、傘は、ロマンチックな道具でもある